深夜の決断は危険かも?最大15%変わるメンタルリズム

サイエンスコラム
夜と朝でこんなに違う? メンタルリズムの変化

仕事や人間関係の悩みが夜になると膨らみ、翌朝「あれほど思いつめていたのは何だったのだろう」と感じたことはありませんか。英国の大規模調査では、朝と深夜のあいだで幸福度ややりがい感が最大15%も変動すると報告されています。この数字は生活満足度を左右するほど意外に大きく、深夜に下す決断はリスクが高い可能性があるのです。

ここでは、約4万9千人を2年間追跡した研究結果を基に、どのようにメンタルが揺れ動くのか、そして夜の憂うつを最小限にするための具体策を見ていきましょう。

夜に不安が膨らむのはなぜ?15%の違いが意味するもの

この研究(UCL COVID-19 Social Study)では、うつ症状・不安症状・幸福度・やりがい感を週単位で測定し、約90万回のデータを解析しました。結果、朝(6〜8時頃)が最もメンタル指標が高く、深夜(0時頃)が最低点に近いパターンが明らかになっています。中でも「幸福度・やりがい感の落差が10〜15%」という数字は見逃せません。

たとえば幸福度が10%下がるというのは、普段なら「そこまで気にしない」程度のトラブルでも、夜は重くのしかかるような感覚に近いかもしれません。脳が疲れているうえ、コルチゾールやセロトニンなどの分泌が夜間に減るため、否定的な思考の渦に巻き込まれやすいと考えられます。さらに、家族や友人が寝静まる時間は相談相手も少なく、一人で思い詰める状態が長引く傾向があります。

平日については、火曜・水曜の中盤に「朝から気分が沈みがち」という人が増えるという報告もあります。加えて週末になると、朝の開放感が爆発的に高まったあと、夜に一気に落ちこむパターンが見られました。たとえば土曜の飲み会で楽しく盛り上がった帰り道、ふと一人になると寂しさや不安が増してしまう。そうした体験に心当たりがある方も多いかもしれません。

冬にはさらに要注意

冬は日照時間が短く、室内にこもりがちになることで心身に影響が出やすくなります。やりがい感や幸福度が下がり、うつ・不安症状が強まるという結果も同研究で示唆されています。逆に夏は日差しと行動量が増えやすく、メンタルの底上げにつながりやすいようです。

深夜の落ち込みを少しでも軽くするには?

(1) 夜の決断は翌朝に持ち越す

深夜に思いつめそうなときは、「体内リズムのせいで今は悲観的になりやすい」と考えるだけでも冷静になれます。大事な判断は翌朝に回す、夜はアイデアを寝かせると割り切ってしまうのも一つの方法です。

(2) 週末こそ予定を詰め込みすぎない

週末の朝に幸せを感じやすい一方、夜に急落するケースが多いと報告されています。楽しいイベントを減らす必要はありませんが、夜遅くまでダラダラ続けず、少し早めに切り上げるなど“クールダウンの時間”を確保しましょう。

(3) 冬は光と運動の意識を高める

冬に落ち込みがちと感じる人は、休日の午前中に外に出る習慣をつくるなど、日光や軽い運動を意識してみてください。照明を活用して部屋を明るく保つだけでも、気分のどん底を防げる場合があります。

(4) 孤独感は長期戦で

一方、研究では孤独感が曜日や時間帯に左右されにくいことも示されました。これは、孤独が短期の気分変動よりも深く根づいた心理状態に近いからかもしれません。オンラインでもリアルでも、コミュニティや友人との交流を定期的に持つなど、長い目で解消策を考えてみることが大切です。

まとめ:15%の差を意識して「朝型アクション」を

深夜と朝のあいだで最大15%のメンタルギャップがあると聞くと、「夜に感じるあの絶望感は、体や脳のリズムのせいかもしれない」と少し気が楽になるかもしれません。もし夜中に悩みがどんどん膨らんでも、翌朝にはある程度クールダウンできる可能性が高いのです。

とはいえ、季節や週末の過ごし方でも浮き沈みの幅は変わるため、自分のリズムを観察しながら、夜に考えすぎない工夫や朝の行動を大切にするなど、小さな改善を積み重ねてみてください。ビッグデータが裏づける「朝に調子がいい」という事実を活かすだけで、生活の質が大きく変わるかもしれません。じわじわと日々を変えていき、深夜の落ち込みをうまく乗り越えましょう。

参考文献

Will things feel better in the morning? A time-of-day analysis of mental health and wellbeing from nearly 1 million observations
https://doi.org/10.1136/bmjment-2024-301418
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